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FORD IRONMAN TRIATHLON WORLD CHAMPIONSHIPS 2008.12.20

 2年振りのHawaii Ironmanと言うこともあり、日本を出発する時はいろいろな不安はあったが、KONA入りすると同時に精神的には落ち着き、次第に心身ともに充実した状態にった。
11日の競技は、合衆国国歌の演奏が終わると同時にスタートした。今年のスイムもバトルは無かった。今年は波が穏やかだったせいか、ブイが見易かった。1,000mを過ぎた頃からだろうか、集団から離され始めた。折り返し復路は、途中から横に着いたある選手と2人で泳ぐことになり、その選手を気にし過ぎたせいか、往路のブイが復路のコースブイと錯覚。ライフ・ガードのボランティアに進路変更の指示を受けてしまった。スイム・フィニッシュ300m手前、15分遅れでスタートのエイジ選手に追いつかれた。結局、スイム・タイムはいつもと変わらず。でも一緒にスイム・フィニッシュしたのはYvonne Van Vlerken(29歳、今大会、Pro-women2位、swim1:06:49, Bike 5:05:34, Run 3:04:26, overall 9:21:20)だった。バイクで「どこまでついていけるのだろう」と食いついたが、トランジッションでおいていかれた。

 バイクは、苦手意識がどうしても付きまとうが、今年はランニングの調子をあげていたので、バイクは粘って、ランで刺しまくろうと開き直り、落ち着いてバイクをこいだ。Kuakini HWYをHAWIに心地よくペダリングするも、見慣れた顔に抜かれてばかり。プロは勿論、エイジの選手にまで抜かれる始末。HAWI(下の写真のように街並は可愛いが・・・)に近づくにつれ風が強くなり、次第にペースが落ち、横風にあおられながら走る。6回目のHawaii(World Championship)だが一番強いKONA WINDを感じた。


 HAWIの折り返し直後は追い風に乗れたが、すぐにまた鬼の横風を受ける。コースは下りでスピードは出るのだが、足元をすくわれされそうになる。当然、足の回転を止めるとハンドルまでも不安定になり、全身が緊張して背中に力も入り、背筋に転倒の恐怖が襲う。180cm以上の男子選手でさえ、この風に怯え「ウォー!」と叫んでカッ飛んでいた。長い緊張に耐えながら、給水、栄養補給もままならなかった。案の定順位を落としてしまった。


 ランで挽回しようと走り始めた。しかし、ランスタート時の感触もあまり良くない。とは言え、いつも後半ペースアップ型なので気にせずに上がってくるのを待った。ビーチ沿いのAirlie DriveのKeauhouを折り返し、いつもなら調子が上がってくる時間なのになかなか上がらない。それどころか次第にペースダウンしてきた。ついに歩き始めてしまった。


 こんな時はいつも自分の心の中で厳しい葛藤が始まる。「歩いていいの?」、「歩いたら次がなかなか走り出せないよ?」、「歩けば回復してすぐにまた走り始められるよ!」背中の後ろから、KONAの女神様の声が消えていく。
 胃がガボガボとし始め、腕が痺れ(しびれ)てきた。完全な脱水症状(熱疲労:水分、ミネラル分が大量に失われ、血液量が減少する。めまい、立ち眩み、頭痛、嘔吐を起こす)だ。痺れは徐々に増し、両腕、手のひらの感覚もなくなってきた。ついに、しゃがみ込んでしまった。観客・応援者の多い、Palani Rd.の上り坂もフラフラ歩く。20km手前というのに、既に4〜5kmも歩いてしまった。お腹が空いている感じも、喉が渇いている感じもないが、明らかに脱水とハンガーノック(空腹感を覚えた後、全身に力が入らなくなり、全く運動できない状態)だ。このまま残りを歩き続けるのは気が遠い。リタイアの文字が頭を過ぎるが、私を抜いていく選手も励ましてくれる。中には一緒に歩いてくれた選手もいた。


 エイドステーションでエナジージェル、スポーツドリンクを補給し、今までのみんなの応援を「無駄にはしたくない!」という熱い思いが自分の足を動かし始めた。徐々に感覚が戻ってきた。もう順位やタイムなどははっきり言ってどうでも良かった。次に繋がるような走りをする、ハワイの雰囲気を楽しむ、声援に応える、このことに徹した。そんな思いが、次第にいつもの快調に走る足と、自分の心を変えてくれた。Natural Energy Labを折り返し残り10km強の地点で、さらにペースを上げることができた。
 ゴール前のPalani Rdの下りでは、笑顔で快調に飛ばすことができた。「次に繋がるレースをしたよ。」とKONAの女神様に呟きつつゴールした。


 今回の大きな反省点は、補給に尽きる。ここ数年のレースでの補給は、実に上手く摂取出来ていたので、パターンを変えても大丈夫だろう、と過信したのが大きな判断ミスであった。代償は大きかったが、未経験の失敗から得る収穫も大きかったきがする。

 ハワイは世界でも有数なパワースポットでもある。いかにその土地のあらゆる物・力を味方につけ、楽しめるかが、自分の力を最大に引き出せるかのポイントだと思う。2連覇を果たしたChrissie Wellington(31歳、swim0:56:20, run 5:08:15, bike 2:57:44, overall 9:06:23)にしても、長年の女王Natascha Badmann(41歳、今大会、swim 1:08:01, bike 5:25:07)にしてもKONAの女神様と一体になっている。そして、レースが出来る自分の生の空間を心から楽しんでいる。自分で100%納得したトレーニングと、そこから生まれる絶大なる自信があるからこそ優勝できるのだろう。Ironmanのレース後、時々Chrissie Wellingtonのブログや動画を聞くと、つくづくそのKONA Powerの違いを感じる。自分自身は、トレーニングから生まれる継続的自信と、ChrissieやNataschaの持っている野生的動物感覚と、高い理想を求める姿勢が必要なのであろう。2009年も他人の振りみて、前へ前へ進んでいきたい。

【記録】
日時 2008年10月11日(土) 6時45分START
場所 ハワイ島カイルアコナ
天候 晴れ
距離 SWIM 2.4mile/BIKE 112mile/RUN 26.2mile
時間 10時間53分16秒(S 1:06:51/B 5:49:54/R 3:51:16)
順位 プロ女子38位


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